個人事業主の運営法

【青色事業専従者ではない場合】専従ではない家族へ給与は可能?

【青色事業専従者ではない場合】専従ではない家族へ給与は可能?

こんにちは、フクオと言います。

私は歯科医院から事業所得を得る個人事業主なのですが、歯科医師の妻は別の医院で給与をもらって働いています。

青色申告の個人事業主は、家族が専従(自分の個人事業でのみ働いていて、他では働いていない)などの条件を満たせば、家族に給与を支払うことができるのですが、我が家のように妻が別の医院で勤務していると私から給与を支払うことはできません。

私の個人事業から妻に報酬を支払うことができれば、仕事を手伝ってもらい節税にもなりお得であると思われた方もおられるかもしれませんが、歯科医師の方にとって、お金のことって難しくて、よく分からないですよね。

若手の歯科医師
若手の歯科医師
家族への給与は青色事業専従者給与以外にないの??

家族間での給与のやり取りは、税務署の取り締まりが厳しいと聞いたことがあるけど?

家族も個人事業主になって、外注費という形で支払うのはどう?

歯科医師の皆さまの中には、こんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

特に、夫婦共働きで、お2人ともが歯科医師などの専門職に就かれているご家庭の方は、ご家族に給与(租税回避目的の法外な額ではなく、仕事に見合う適正な額の給与)を支払えればなあと、より悩みも大きくなりますよね。

かく言う私も、同じような悩みを抱えていました。

結論から言うと、残念ながら、家族との業務取引で報酬を支払い、必要経費に算入するのは難しいのが現実であり、給与を支払う場合には専従してもらい青色事業専従者給与を支払ってください。

この記事では、個人事業主として働く歯科医師である私が、青色事業専従者給与以外には家族に給与を支払うことが難しいこと、その理由を紹介します。

記事の内容は、私の顧問をして頂いている税理士の先生に教えてもらった内容も含まれているため、信用性は担保されているかと思います。

家族への給与

個人事業での家族への給与は、通常は経費として認められません。

「個人事業は家族が手伝うのが当たり前であり、それに対する給与を経費とするのはおかしい」という考えが理由です。

しかし、家族に支払う給与を経費とする方法があり、それが「青色事業専従者給与」です。

青色事業専従者給与を支払うためには、青色申告の個人事業主となり、給与を支払われる家族がご自身の事業に「専従」していなければなりません。

ちなみに、ウチの妻は現在、別の歯科医院で勤務していて専従はできないため、青色事業専従者給与を支払うことはできないんです。

そこで私は、

  • 専従ではない他の仕事もしている家族に給与を支払う方法はないのか?
  • 給与でなければ大丈夫かも?
  • 仕事の一部を外部に発注する「外注費」ならどうか?

と考えました。

妻も個人事業主になり、私から「外注費」として支払えば、給与でもないし、合法なのでは?というアイデアを思い付いたため、顧問税理士の先生に相談してみました。

法律と判例

税理士の先生からは、法律と裁判での判例を基に以下を説明して頂きました。


「論点は所得税法第56条の解釈にあります。

所得税法第五十六条 居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。

(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)

上記を要約すると、「事業主と生計を一にする親族が、その事業主の事業に従事したことによる対価の支払を受けた場合でも、その対価の金額は経費に算入しない」ということ。

この第56条の解釈には、「租税回避のおそれがある場合にのみ適用されるとする見解」と、「一律に必要経費を否認する見解」とに分かれます。

フクオ先生の相談内容は、租税回避のおそれがない(つまり他の第三者と同額で奥様とも取引を行う)ケースを想定されていると思いますが、結論から申しますと、他の同様の裁判において、いずれも否認されているのが事実です。

夫と妻がそれぞれ独立した弁護士事務所を営んでいるケースと、夫が弁護士、妻が税理士でそれぞれ独立しているケースの裁判において、いずれも最高裁で国側が勝訴しています。

よって、釈然としない部分もあろうかと思いますが、奥様との取引で必要経費に算入するのは難しいのが現実だと思います。


税理士の先生に相談したことで、妻が個人事業主になり「外注費」という名目にしても、私から専従でない妻に報酬を支払うことは難しいと分かりました。

ただ、今回の私のように、税理士の先生に顧問になって頂いていると、事業で困った時に相談に乗ってもらえます。

まだ顧問税理士の先生がいない方は、ぜひコチラの記事をお読みください。

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まとめ

家族に給与を支払うには、家族が個人事業主となり「外注費」としてもダメで、家族が専従となり「青色事業専従者給与」とする以外に方法はありません。

ご家族が他の仕事をしておらず、ご自身の事業に専従してもらえるなら、ぜひコチラの記事をお読みください。

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この記事を読んだまだ個人事業主ではない、勤務医、フリーランスの歯科医師、医療人の方が個人事業主となり、より良い生活を送れることを願っています。

今後もどうぞご贔屓ご鞭撻のほどを。