こんにちは、フクオと言います。
私はある歯科医院では勤務医としてお給料をもらって働きつつ、別の歯科医院では個人事業主として事業所得も稼いでいます。
個人事業主になると、事業でかかる費用を経費とすることができるのですが、
「税金がかかる所得(課税所得)=収入(事業所得)-経費-所得控除」であるため、経費を使うと課税所得が低くなり、税金が安くなるんです。
それじゃあ、個人事業主として開業するまでは経費を使えないかと言うと、そうではなく、「開業費」というものがあります。
「開業費って何?」と思った方もいるかもしれませんが、勤務医の歯科医師の方にとって、お金のことって難しくて、よく分からないですよね。
どんな費用を開業費にできるの?
開業費とするためには、どんな工夫が必要なの?
歯科医師の皆さまの中には、こんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
特に、勤務医をしながら個人事業主になろうか迷っている歯科医師の方は、より悩みも大きく、現実的になりますよね。
かく言う私も、同じような悩みを抱えていました。
結論から言うと、「開業費」と言って、個人事業主になる前の事業をはじめるためにかかった費用は、きちんと領収書を保管しておくと、開業(個人事業主になった)後に経費とすることができ、節税に効果的です。
この記事では、個人事業主として働く歯科医師である私が、開業費とするために注意するポイントを紹介します。
記事の内容は、私の顧問をして頂いている税理士の先生に教えてもらった内容も含まれているため、信用性は担保されているかと思います。
開業費とは?
個人事業主になる前の、事業をはじめるためにかかった費用を「開業費」と言います。
ちなみに、開業した後だと「経費」。
「税金がかかる所得(課税所得)=収入(事業所得)-経費-所得控除」
個人事業主になると、↑の式で示すように、経費を使うと課税所得が低くなり、税金が安くなります。
さらに、「開業費」も「経費」と同じように、事業所得から差し引き、課税所得を小さくすることができるため、開業後には「開業費」を計上しましょう。
ただ、「開業費」と「経費」はまったく同じものではありません。
経費は費用、開業費は資産
開業費は、費用の項目ではなく、「繰延資産」という資産の項目。
固定資産の減価償却のように、その年に経費とする部分を「償却(費用とする)」します。
償却には、
- 5年で均等に償却する方法
- 償却期間と償却額を自分で決められる方法(任意償却)
があり、どちらにするかは自分で決められ、届出などの必要もありません。
任意償却は、開業初年度に一括で経費にしても良いですし、初年度よりも2, 3年目に利益が多く出そうであれば初年度ではなくその年に経費にしても良いでしょう。
開業費にできるものの例
- 開業のアドバイスを受けるために、先輩を訪ねた際の旅費
- その先輩との会食費、手土産代
- 税理士の先生と相談する際の費用
- 開業のためのセミナーなどへの参加費
- 仕事に使う、歯学書やパソコンの購入費
- 開業前の自宅兼事務所の家賃や水道光熱費の事業用の割合(家事関連費を個人用と業務用に按分して経費を計上する)
開業費にできないもの
注意点としては、開業前に購入しても、1年以上使用する10万円以上(青色申告の場合)のモノは開業費ではなく、備品などの固定資産としなければいけません。
これは、「経費にできない」という意味ではなく、仕訳(帳簿つけ)の際に混同しないようにしましょう、という意味です。
開業費とするためには領収書を保管
開業費とするためには、経費と同じように、その証拠の領収書は捨てないようにしましょう。
開業の何年前まで開業費?
開業の何年前までの支出が開業費として認められるかは、実は決まりはありません。
つまり、開業のための支出であると説明がつけば、何年前の支出でも「開業費」。
大事なことは開業のための費用であると説明がつくかどうかですので、領収書にどういう内容の支出であるかをメモ書きで残しておきましょう。
メモの書き方はコチラの記事を参考にしてください。
ただ何年前でもと言っても、例えば、10年も前のセミナー参加費を開業費とするのは違和感がありますよね。
このあたりは常識の範囲内で考える必要があります。
開業費の仕訳
開業費の仕訳(帳簿つけ)の方法は、
- 支出1つ1つに対して別々に帳簿つけをする(丁寧)
- 合計額で帳簿つけをする(簡便)
の2通りがあります。
例えば、開業前に口腔内写真撮影用のカメラ 70,000円を購入した際の仕訳(仕訳の日付は開業日)は↓
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
開業費 | 70,000 | 元入金 | 70,000 | 口腔内写真撮影用のカメラ, 〇年〇月〇日購入, eストア |
上記のように、支出1つ1つに対して別々に帳簿つけをしていく方法が丁寧ですが、
開業前にかかった10万円以下の支出の合計額で帳簿つけをしても問題ないとされています。
例えば、開業前の支出の合計額が 300,000円の際の仕訳(仕訳の日付は開業日)は↓
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
開業費 | 300,000 | 元入金 | 300,000 | 〇〇, 〇〇, 〇〇購入 |
ただし、上記のように合計額で仕訳をする場合には、エクセルなどで「購入したモノ」、「費用」、「日付」、「店名」などをまとめておく必要があります。
決算時(例えば年末)には、開業費を償却することにより経費にしますが、
例えば、任意償却で 110,000円を償却する際の仕訳(仕訳の日付は決算日)は↓
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
繰延資産償却 | 110,000 | 開業費 | 110,000 | 償却額 |
となります。
個人事業主歯科医の帳簿つけについて、もっと知りたい方はコチラの記事を参考にしてください。
まとめ
個人事業主になる前の、事業をはじめるためにかかった費用は「開業費」と言います。
きちんと領収書を保管しておき、開業のためにかかった費用であると説明がつくと、開業(個人事業主になった)後に経費とすることができ、節税に効果的。
開業のための支出であると説明がつけば、何年前の支出でも「開業費」ですので、領収書は捨てずに保管しておきましょう。
この記事を読んだまだ個人事業主ではない、勤務医、フリーランスの歯科医師、医療人の方が個人事業主となり、より良い生活を送れることを願っています。
今後もどうぞご贔屓ご鞭撻のほどを。