開業(事業の始め方)

歯科医師(勤務医)が今すぐに個人事業主になるべき5つの理由

歯科医師(勤務医)が今すぐに個人事業主になるべき5つの理由

こんにちは、フクオと言います。

私はある歯科医院では勤務医としてお給料をもらって働きつつ、別の歯科医院では個人事業主として事業所得も稼いでいます。

「個人事業主って何?」と思った方もいるかもしれませんが、歯科医師の方にとって、お金のことって難しくて、よく分からないですよね。

若手の歯科医師
若手の歯科医師
どうしよう??税金が高すぎる。

節税ってどうやるの?

副業をしているけど、個人事業主になるべきなの?

歯科医師の皆さまの中には、こんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

特に、1つの医院だけではなく、いくつかの施設を掛け持ちしながら働く歯科医師の方は、収入も納税額も増えて、より悩みも大きくなりますよね。

かく言う私も、同じようにお金の悩みを抱えていました。

結論から言うと、いくつかの医院で診療している歯科医師の方や、歯科医師業以外の副業をしている方の場合は、税務署に開業届を出し、個人事業主になることが節税に効果的です。

開業届を税務署に提出しても、勤務先の医院に個人事業主であることがバレたりはしませんのでご安心を。

この記事では、個人事業主として働く歯科医師である私が、複数の医院で勤務していたり、副業をしている歯科医師が個人事業主になるメリットを紹介します。

記事の内容は、私の顧問をして頂いている税理士の先生に教えてもらった内容も含まれているため、信用性は担保されているかと思います。

理由①経費

個人事業主になると、経費を計上することができます。

勤務先の院長や先輩ドクターが食事をおごってくれて、「これは経費で落とす」なんて言っているのを聞いたことがありますよね。

経費を使えれば、なんとなくお得だということを知っている方は多いのではないでしょうか。

では、なぜ経費でお得になるのか?

それは、経費を計上する(使う)と税金が安くなるんです。

「税金がかかる所得(課税所得)=収入(事業所得)-経費-所得控除」であるため、経費を使うと課税所得が低くなり、税金が安くなるのです。

具体的に、計上する経費として挙げられるものとしては、

  • 医院までの交通費
  • 仕事関係の方との会食の費用
  • セミナーや学会への参加費、年会費
  • 歯学書の購入費
  • 仕事に使うパソコンの購入費
  • 自宅兼事務所の家賃や水道光熱費の事業用の割合(家事関連費を個人用と業務用に按分して経費を計上する)

などがあります。

例えば、事業所得が500万円の方の場合、税金はざっくり30%(所得税20%+住民税10%)なので、

経費を50万円使うと、

50万円×30%=15万円 となり、

1年間で15万円の節税になります。

理由②青色申告特別控除

青色申告特別控除は、開業届を提出した個人事業主が受けることができる最大のメリットです。

確定申告の際に青色申告を行うことで、課税所得をなんと最大65万円(令和2年からは原則55万円に改正)低くすること(所得控除)ができます。

所得に応じた税金の額を決めるのが確定申告ですが、ほとんどの勤務医の方は確定申告をしたことは無いと思います。

それは、院長や事務の方が、皆さんの所得から税金を計算し、納税までやってくれているからです。

しかし、個人事業主として得た所得に関しては、ご自身が確定申告を行い、税金を納める必要があります。

確定申告には、「青色申告」と「白色申告」があり、個人事業主はこの2種類の内どちらかを選択することになります。

青色申告の方が税金が安くなるようにできているため、白色申告と比較して帳簿(事業における取引やお金のやり取りを記録したもの)がわずかに難しいですが、こちらを選んだ方がお得です。

青色申告の条件としては、

  • 開業届を提出して個人事業主となること
  • 青色申告の届出をすること
  • 帳簿(青色申告には複式簿記の必要がある)をつけ、それを基に確定申告をすること

が求められます。

開業届(個人事業主の開業届)と青色申告の届出(青色申告特別控除の申請書)はとても簡単に提出できます。

帳簿(複式簿記)は、知識がほとんど無くても、パソコンの会計ソフトを使えば、かかる手間はほとんどありません。

このため、青色申告のハードルは低いと言えます。

理由③青色事業専従者給与

ご家族がご自身の事業に専従(その仕事だけに従事して、他では働いていない)した場合には、そのご家族への給与を経費にすることができます。

これを青色事業専従者給与といいます。

奥さまなどにご自身の仕事を手伝ってもらい、給与を支払うことにより節税になります。

例えば、事業の経費を管理する帳簿を奥さまにつけてもらい、給与を支払うなどが考えられます。

この青色事業専従者給与を支払うためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。

青色事業専従者とするための条件は、

  • 青色申告者と生計を一にする親族(15歳以上)
  • その年の6か月を越える期間の従事
  • 給与の額(労務の対価として過大でない、届出書の記載金額の範囲内)

歯科医師同士のご夫婦も多いとは思いますが、例えば、歯科医師のご主人が個人事業主となった場合、奥さまが歯科医院で勤務医をしていれば、専従ではないため青色事業専従者とすることはできませんので、ご注意ください。

理由④社会保険料

勤務医の社会保険料は勤務先医院が折半して負担してくれるため、個人事業主よりも勤務医の社会保険料の方が低く抑えられます。

しかし、勤務医として1つの医院で働きつつ、個人事業主として事業所得を稼ぐと、さらに社会保険料を抑えることができます。

勤務医として社会保険に加入している場合、個人事業主としてあらためて社会保険に加入する必要はありません。

また、社会保険料は給与所得から算出されるため、勤務医として頑張って働き給与が上がると社会保険料も上がってしまいますが、個人事業主の事業所得は社会保険料に反映されないため、頑張って事業所得が上がっても社会保険料はそのままです。

このため所得を上げたいのなら、社会保険料のことを考えると、給与所得ではなく、事業所得を上げるようにするべきです。

理由⑤小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主のための退職金制度であり、節税になります。

毎月一定の掛金を積み立て、将来事業をやめた時に一定の共済金を受け取れるという制度です。

掛金は月に7万円が上限で、その掛金は「小規模企業共済等掛金控除」となり、その全額が所得控除の対象となります。

月に7万円が上限ですので、年間で84万円を所得から控除することができます。

例えば、所得が500万円の方の場合、税金はざっくり30%(所得税20%+住民税10%)なので、

小規模企業共済を1年間に最大額の84万円積み立てていると、

84万円×30%=25.2万円 となり、

1年間で25.2万円の節税になります。

しかも、事業をやめた際に受け取る共済金は、一括で受け取る場合には退職金(退職所得)扱いとなります。

退職金は通常の給与所得と比較して税制上のメリットが大きいため、受けとる際にもお得となります。

その他

以上、個人事業主となるべき理由を5つ紹介しました。

これら5つ以外にもメリットはあるのかもしれませんが、ただ、あとはその他とまとめられるぐらいのことです。

デメリット

メリットだけではなく、一応デメリットもあります。

まずは、確定申告が必要。

しかし、そもそも事業所得でなかったとしても、2か所以上からの収入があれば確定申告は必要です。

次に、所得金額が大きくなると、個人事業税消費税を支払わなければなりません。

個人事業税は、事業の種類によって税率が異なり、例えば歯科医業であれば5%です。

個人事業税の事業主控除は290万円あるため、事業所得が290万円を越えてくると、事業税が生じます。

この個人事業税は経費として計上できますので、もし支払うことになったら忘れずに計上してください。

さらに、1年間の売上が1,000万円を越えると、その2年後から消費税を支払う必要があります。

これら2つの税金が生じたとしても個人事業主になるメリットが上回りますが、事業所得の合計が1,000万円を越えないように事業所得と給与所得の割合をコントロールしてみても良いと思います。

そして、帳簿つけ請求書の作成が必要になります。

ただ、白色申告でも簡単にではありますが帳簿つけは必要なので、個人事業主になるなら青色申告一択だと思います。

また、パソコンの会計ソフトを使えば、青色申告でも帳簿つけの手間はほとんどありません。

請求書に関しても、パソコンのソフトで簡単に作成することができますので、安心してください。

まとめ

個人事業主となると、経費、青色申告特別控除、青色事業専従者給与、社会保険料、小規模企業共済の5つの点で大きなメリットがあります。

ただ、注意して頂きたい点として、歯科医療行為は条件を満たさないと給与所得となることが多く、事業所得とみなせるかどうかの判断基準は素人には難しいところがあります。

このため、興味がある方や悩んでいる方はまず専門家である税理士さんに相談してみてください。

この記事を読んだまだ個人事業主ではない、勤務医、フリーランスの歯科医師、医療人の方が5つのメリットを手に入れて、より良い生活を送れることを願っています。

今後もどうぞご贔屓ご鞭撻のほどを。