こんにちは、フクオと言います。
私は勤務医として給与をもらいつつ、個人事業主として矯正歯科治療などの事業を営んで、働いている歯科医院からの報酬は事業所得として支払ってもらっています。
個人事業主に興味がある歯科医師の方もおられるかもしれませんが、実際の開業(個人事業主になる)までのステップってよく分からないですよね。
自分の業務が事業所得として認められるかは誰に相談するの?
事業所得にしても院長には迷惑がかからないの?
個人事業主に節税のメリットがあると知って、興味を持った勤務医の皆さまの中には、こんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
特に、複数の施設で診療している方は、「1つの施設では給与を受け取り、他の施設では事業所得を受け取りたいが、個人事業主になるまでにはどういうステップを踏むのか?」というように悩みもより具体的になりますよね。
かく言う私も、個人事業主になる前に、同じ悩みを抱えていた時がありました。
結論から言うと、事業所得としての業務条件を満たす歯科医師の方は、少ないステップでとても簡単に個人事業主になることができます。
事業所得の条件についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
歯科医師の方は、「開業」と聞くと歯科医院を開設することだと思われるかもしれませんが、個人事業主になることも「開業」と言います。
この記事では、歯科医師として働き事業所得を得る私が、個人事業主になるまでのステップを紹介します。
記事の内容は、私の顧問をして頂いている税理士の先生に教えてもらった内容も含まれているため、信用性は担保されているかと思います。
歯科医療の対価を事業所得として受け取るための流れを簡単に示すと、
業務内容について税理士さんと相談
まずは、今の業務内容が事業所得として認められるかどうかを税理士さんと相談してください。
税理士さんと相談する前にご自身で判断する事業所得の条件については、私の別記事を参考にしていただければと思います。
しかし、実際に事業所得に該当するかどうかは、いくつかの基準に基づいて様々な観点から総合的に判断され、この判断はとても難しいため、専門家である税理士さんと相談する必要があります。
税理士さんの探し方は、もし知人の院長が契約している税理士さんがいれば、その方に相談するのが一番良い方法だと思います。
知人の院長からその税理士さんの評価も聞けるため安心ですし、その際の相談料やその後に顧問について頂く際の顧問料も、もしかすると知人の院長からの紹介という理由で少しサービスしてもらえる可能性があります。
実際に私は、知人の院長が契約している税理士さんに顧問をお願いしていますが、顧問料も安く抑えて頂いていますし、顧問契約をするまでの間の相談料もサービスして頂けました。
知人を頼れないという方は、「ネットの税理士さん紹介サイト」や「商工会議所の無料相談」を利用することをおススメします。
院長と業務委託契約が可能か相談
税理士さんと相談して、ご自身の業務内容が事業所得として問題ないようでしたら、次は勤務先の院長と業務委託契約が可能かどうかを相談してください。
事業所得として受け取るためには、その契約様式として、雇用契約(給与所得のための契約)ではなく業務委託契約を結ぶ必要があります。
給与には消費税はかかりませんが、モノを買う時と同じように、業務委託契約での事業所得には消費税がかかります。
自分に支払われる事業所得に消費税がかかるということは、勤務先の院長の負担は大きくなると思われるかもしれません。
しかし、実際は院長の負担が大きくなることはありません。
消費税の納付額は「預かった消費税」-「支払った消費税」の差引金額であるため、院長の支払額は、あなたの所得が給与の場合も事業所得の場合も同じです。
あなたが事業所得になったからといって勤務先の院長の負担が大きくなることはありませんのでご安心ください。
個人事業主が知るべき消費税についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
院長と業務委託契約を結ぶ
勤務先院長と相談し、問題なければ業務委託契約を結びます。
業務委託契約書の内容は、例えば、
- 報酬額(消費税込か税別か、歩合なら何%か)
- 治療で使用する器具・材料の扱い
- 報酬支払までの流れ(支払は請求書のメールや郵送から何日以内か、振込か)
- 契約解除の取り決め
豆知識ですが、業務委託契約の契約書を紙で作成した場合には印紙税という税金が課されるため、収入印紙を購入して契約書に貼る必要があります。
印紙税はわずかな費用ですが、それを避ける方法として、院長と契約内容や条件に対してお互いに合意しているというやり取りをメールで残しておくという方法もあります。
業務委託契約書の作り方についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
開業届を提出する
「個人事業の開業届出書」は事業の開始から1か月以内に提出する必要があります。
これから事業を始めようという方は、始めようと思い立った今日を事業開始日としましょう。
開業届の出し方は、「開業freee」というサイトを使えばとても簡単です。
開業届を提出したら、あなたももう個人事業主です。
「開業freee」を使った開業届の出し方についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
開業届を提出した後
個人事業主になる最大のメリットが青色申告特別控除ですので、「所得税の青色申告承認申請書」も併せて提出しましょう。
青色申告承認申請書は事業開始から2か月以内に提出する必要があります。
個人事業主になると、帳簿にお金のやり取りを記帳する「帳簿つけ」の手間が増えます。
帳簿と聞くと難しそうと思うかもしれませんが、とっても簡単。
パソコンの会計ソフトを使えば「簿記」という会計の知識が無くても、ほぼ自動的にソフトがやってくれます。
銀行口座やクレジットカードを会計ソフトと連携させておけば、さらにラクで、事業用の口座やクレジットカードを作ればさらにさらにラクです。
そして、税理士さんに顧問についてもらうとより安心です。
帳簿のつけ方についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
まとめ
個人事業主になるためには順に、業務内容について税理士さんと相談、院長と業務委託契約が可能か相談し、業務委託契約を結び、開業届を提出というステップが必要です。
ただ、注意して頂きたい点として、歯科医療行為は条件を満たさないと給与所得となることが多く、事業所得とみなせるかどうかの判断基準は素人には難しいところがあります。
このため、興味がある方や悩んでいる方はまず専門家である税理士さんに相談してみてください。
この記事を読んだまだ個人事業主ではない、勤務医、フリーランスの歯科医師、医療人の方が個人事業主になり、より良い生活を送れることを願っています。
今後もどうぞご贔屓ご鞭撻のほどを。